あまり期待していなかったが、最近頼りにしているLe Pudlo というレストランガイドによると、ミシュラン同様、三段階評価の二番目(評価を皿の数で表示)にランクされていたので。
予約の応対はまず事務的だが、テキパキとした印象。当日午前中のコンファームの電話では、よりリラックスした感じ。「窓際の席を希望」と告げると、「そうなっています」と気持ちよく答えが返ってきた。
予約時間から30分遅れで到着。やや事務的だが、まずまずそつのない対応。入り口に大きな犬が寝そべっていた。
店の入り口は、食事よりも内装にエネルギーをかける最近流行のレストランを印象させる。ダイニングの紫のベルベット地のような壁は、明るい昼の光だと重厚感にかける。
メートルは、スペイン人を想起させる容貌の美形。言葉遣いも丁寧。パンを配る女性もそんな感じ。
アペリティフは、シャンパーニュとLillet rouge(ボルドーの酒精強化ワイン)を注文。後者は置いていない店が少なくないが、南西フランス出身のシェフだからか。ちなみにシャンパーニュはドン・ペリニヨン。うれしいような(勘定が気になり)悲しいような・・・
アペリティフと、紫のチコリをワインビネガーと蜂蜜でマリネしたもの。これにパルメザンを焼いたものを帯状に巻きつけていた。煎餅状のものはよく見るが、どうやって輪を作るんだろう?
あとは、数種のパンとともにアンダルシア産のオリーブオイル、ブルターニュ産の有塩・無縁バターが供される。
鮮やかなオレンジ色の大きなカルトを開くと、右のページにデギュスタシオン・ムニュ(168
euros)が。更に織り込んであるページを開くと、左ページに前菜4種、魚介4種、中央ページにフォアグラ3種、肉4種、右ページにチーズ、デザート7種という構成になっている。
同色の小さなカルトはお得なランチ用ムニュ(68 euros)だが、三ツ星に引けをとらないというフォアグラを食べたいのでパス。因みに、カルトの構成からわかる通り、フォアグラは主菜にしてもよい。
前菜は、フォアグラ・グリエ。連れは白アスパラ。
主菜は、二人からの注文という本日の魚、サンピエール(的鯛)。
デザートも始めに選んでくれとのことだったので、バ・アルマニャックの「本物の」ババ、連れはガリゲット苺のカプチーノ風、を注文。
注文が終わると、アミューズが供される。フォアグラのクレム・ブリュレ、青リンゴのソルベ添え。アイデアといい、味といい、申し分ない。フォアグラの濃厚なコクと味わいに、さっぱりとした青リンゴの酸味がマッチして軽い仕上がりになっており、さらに、ピスタチオの欠片が歯触りにアクセントを添えている。
ワインは、若いソムリエとじっくり話して、彼の一押しペサク・レオニャンの白(1990)と、赤に拘る我々に対して彼が唯一認めたクロ・ヴージョ(2001)を選んだ。ワインの品揃えは、こういったコンテンポランな店ならいいかもしれないが、パリで堂々二つ星を張っていくにはやや貧弱な印象。とはいえセレクション自体は無難で、一本150
eurosくらいのものを選べば間違いはなさそう。
最初に、シェフ出身の南西フランス産の白ワインがいいのでは?とソムリエに問うと、「ノーブルな食材をお召しになりますから、ブルゴーニュがいいと思う」とのこと。ちなみに、この白・赤ともデカンタージュしていた。
前菜のフォアグラ
普通ならポワレだが、薪の火でグリルした焦げ目のついたもの。付合せはコリアンダーで香付けしたパイナプルの薄切りのロースト。普通の1.5倍くらいの厚みで、脂を落としてもなおジューシーなフォアグラと、パイナプルの甘味とがよく調和していた。
連れの白アスパラは、絶妙な茹で加減。これに手長えび、アサリ、岩場のタコ、イカの蒸焼きやローストが付合せとなっていて、日本人には嬉しい食材が勢揃い。バスクの海岸のレストランにでもいるような、楽しい錯覚。
付合せの魚介の塩加減が程よく、白とグリーンのソースも軽く、秀逸の皿。パリのレストランではなかなか魚介を食べる気がおこらないが、ここのはお代わりしてもいいくらい。
メインの的鯛
マテ貝、アサリ、小イカなどと蒸焼きにされたもの。カルトにはサルサ・ヴェルデ(緑のソース)とあり、白アスパラのソースとダブルのでしまった!と思ったが、後の祭り・・・。しかし、もしかしたらシェフの機転か、ソースは蒸焼きにした際の魚介のエキスをベースにしたあっさりした白ワイン仕立て。塩加減も絶妙、お見事。
テーブルの横で解体された魚は「貧相な魚体だなあ」と思ってみていたが、意外やジューシーでプリプリしていた。
星付きレストランでもクールブイヨン+生クリームのソース一辺倒のフレンチの魚料理は、日本人の肥えた、冴え渡る舌には物足りないと思う(というか美味しくない)ので、積極的には食べない。
例えば、去年食べたブリストルの的鯛は、付合せの塩加減が強過ぎ、だんだん飽きが来る味付けだった。それに比べても、魚専門(主体)のグーマールやル・ディヴレックなどで、それらが二つ星時代に食べたものと比べても、ここの方が勝っている。
肉料理の店かと思っていたが、もしかしたら穴場魚介レストランと言ってもいいかもしれない。
デザート
ババをテーブルの横で半分に切り、年代の異なる三種のアルマニャックから一つ選んでかけてもらう。これだけでもアルマニャックが薫り高く、思った以上にとスムーズな舌触りのババがさらにしっとりとして、うまいが、添えられた濃厚な生クリームがアルマニャックの強さを中和し、また、別のソース(パションなどエキゾチック果物のソース)で酸味が加わり、素晴らしいフィナーレだった。
ガリゲット苺のほうも、生の苺、シャンティイクリーム、苺のジュレのコンビネーションが色鮮やかで、美味(だったのこと)。
勘定
一人当たり、前菜、主菜が各50 euros、デザートが20euros強、ワイン80euros見当、食前酒は20
euros、コーヒー5euros、しめて200から250 euros。
(店内の様子・客層) = 土曜のランチだったので、ノータイ、ノージャケットの人も多くカジュアルな感じ。
客層はやや若め。
(スタッフのようすや対応) = 若いけれど、その分きびきびしていて好感がもてた。
(日本語・英語対応) = メトルの英語は上手でした。
(予約方法) = 電話。要コンファーム。
(10点満点で何点?) = 9点。 豪華な贅を尽くした感じではないので、値段的には、ちょっと高いという印象。
(アクセス) = メトロ駅 セーブル・バビロン駅からすぐ。
(支払い方法) = クレジットカードでの支払い。
(2005年4月 pakanpekopeko 様) |