とてもミーハーな気持ちで、訪れるまでワクワク気分。前日の夕食を控え、朝食はカフェのみにした。この日のために誂えた白シャツに腕を通し、お気に入りのスーツに着替えた。今日は何を食べようかと早くもてしまう。
オテル・ド・パリの前は、車と人が溢れていた。ホテルの回転ドアをくぐる。ホテルの外の喧騒があっという間にかき消される。水の中に入った時のように、音が消え、すべての動作がゆったりとなってくる。最高級のホテルだけがかけることができる魔法が、ここにもある。嬉しくて、用もないのにコンシェルジュと話をしてしまった。優しくて更に嬉しくなる。
手をきれいに洗ってから、レストランのレセプションで、帽子とエズで買った香水を預かってもらい、ダイニングへ進んだ。
ルイ15世様式のダイニング、やはり豪華絢爛。テーブルの間隔も十分にある。テラスにも8卓ほどあるようだが、私はお願いしていたようにサロンの奥まったところにした。
カルトを見た瞬間に心奪われた「プロヴァンスの庭」(170euro)というメニューにすぐ決まった。コート・ダジュールだからロゼ・シャンパーニュと勝手に決めていたので、ローラン・ペリエをお願いしたところ、扱っていないという。ビルカール・サルモンは?と聞いたところ、エリザベス・サ
ルモンがあるというので、それに。ワインリストはとても重そうだった。
夏の果実が一杯にはじけるシャンパーニュを指揮棒にして、プロヴァンスのオリーブ、にんにくを基底音、ズッキーニ、茄子、トマト、ピーマンといった野菜が皿を踊り、メロディを奏でる。
このプロヴァンスの庭というコースは、魚や肉がなく、すべて野菜だけのコース。アミューズ、前菜の二皿、主菜の二皿ですが、メインのキノコまで日本人でも苦しむことなく進めるのではと思う。(3皿目がとても美味しく、この一皿だけでもコースのお金を出しても惜しくない料理)
チーズもブルーベリーのコンフィチュールと一緒に。
デザートはアヴァン・デセールを抜かして、どうにかおなかに収めた。ダブル・エスプレッソでおなかを静めて、しばし椅子に沈み込み、このまま昼寝したいなと思ってしまった。
振り返ってみると、心に一番残っているのは料理。全体の雰囲気も、サロンの豪華さも、サービスのプロフェッショナルも、素晴らしかったが、やはり料理が一番素晴らしかった。モナコは余り好きではないのに、またこのレストランに来たいなあとちょっとした難問を抱えてしまった。
(店内の様子・客層) = 本当に豪華絢爛。ルイ15世様式を始めとするロココ時代が好きなら、とても気に入ると思う。
客層は、常連客から私のようなミーハーな客まで千差万別。ランチでもダークスーツ、ディナーでしたらブラックタイでも宜しいのでは。女性ならディナーはデコルテを見せて、更に華やかに楽しんでみては。
テーブルの間隔がとても広いので、ロングドレスの足先が隠れることなく、サロンを歩くことができる。ディナーはとても華やかなのだろう。
一人客もいた。(同業者のシェフではないかなと私は勝手に推測したが)
(スタッフのようすや対応) = 皆、長身で格好がよい男性サービス。誇りある職場に自分はいるのだという思いがとても感じられ、このレストランを最も愛しているのは、今ここにいるゲストではなく彼らなのだろうなと思った。その彼らの愛こそが、このレストランをいい意味で高い牙城にしているのだろう。
(日本語・英語対応) = 英語で大丈夫。
(予約方法) = メールでお願いした。その後、ホテルのコンシェルジュにサン・ポールのホテルからの送迎(午前はエズを回り、午後はカップ・フェラを回る)をお願いした。また、オテル・ド・パリのショコラや紅茶(ショコラトゥリー・ド・モナコに特注しているオテル・ド・パリの製品)をお土産にお願いした。
送迎車はジャガーとベントレーにした。おそらくどんな車種でも揃っている。運転手付きで1時間200ユーロ前後と確かに高いかなと思うが、2・3時間ドライブをお願いして、紺碧の海を見ながら車を流すのはいかが。コンシェルジュの完璧な言葉遣い、いいホテルだなと思った。
(10点満点で何点?) = 10点。
(支払い方法) = カードで支払った。
(2006年9月上旬 ロメールの秋様) |