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 ロメールの秋 様の紀行
4

21 Dec.2008

 

(2008年9月 ロメールの秋 様)
 
 


 
1 成田〜パリ〜ロンドン
ウォーレス・コレクション
ロンドン泊
The Connaught
2 ナショナル・ギャラリー
3 コッツウォルズ地方
カッスル・クーム、マームズブリー、バイブリー、バーフォード
4 テートギャラリー、ケンウッド・ハウス
5 ロバート・アダムの館巡り
サイアン・ハウス、オスタリー・パーク

6 ロンドン〜パリ
ルーヴル美術館、装飾芸術美術館
パリ泊
L'Hotel
7 発熱で一休み
ルーヴル美術館
8 コニャク・ジェイ美術館、フランス歴史博物館、ニシム・ド・カモンド美術館
パリ〜成田
機中泊
9 〜成田着  
  

 
 
 
 
4日目  
昨日ダローズでお土産に貰ったカヌレとパウンドケーキ、そしてランチの残りの果物で朝ご飯を済ます。

今日は、4日目。少し疲れと憂鬱な気分が出てきた。

外は雨。本当は紅茶でも飲みに、降りていくのがいいのだろうけど、9時になっても、着替えずにベッドの中で憂鬱と戦う。
 
 

義務感が勝利を収め、10時にベッドから出て、テート・ブリテンまでタクシーをお願いする。今日も、コロラドさんで少し安心する。 

テート・ブリテン  
テート・ブリテンは、英国美術史を追うことが出来る、英国美術専門の美術館であり、ターナーのスケッチから作品まで、大量の遺品を管理している。
 
 

憂鬱なる雨も降り、ターナーの展示室から、閲覧するが、心が反応してくれない。かえって憂鬱さが増えていく。

足早に通り過ぎ、ターナーの旅行スケッチが展示されている部屋に入る。心が動いた。

ターナーのような才能を持っている場合、習作と作品との間に、作品としての完成度という意味ではない、単なる才能の質の差異を見つけることはほとんど出来ない。

旅行スケッチのような消えていくものへの反応は、頭によぎったひらめきを言葉にしていくことよりも素早く的確に行わなければならず、彼の使った色から、その才能が如何なく発揮されていることが分かる。

日記に書き殴った言葉から、その時の情景を全て思い出せるような言葉を、ターナーは色で行おうとする。キャンバスに落としていく色が、彼が生きている世界に対する反応なのであろう。
 
 

元気が出てきたので、入り口に戻り、再スタート。
 

ゲインズバラから、コンスタブルを通り、イギリス特有の美術、ヴィクトリア期の美術を見る。

ミレーは渋谷に巡回しているため、そのほとんどがないが、その他の有名な作品を見ることが出来る。

グラフィック・デザインとして分類すべき絵画がそこにあり、キャンバスを乗り越えることも、突き破ることも不要な絵画。ただ、画面の枠組みの中でのデザインと戯れる絵画がそこにはある。

アメリカン・コミックの元祖は、ここにあると勝手に思っている。
 

最期にもう一度ターナーの絵画をじっくり見て、いつでも記憶から取り出せるようにと、記憶一つ一つに埋め込んでいく。
 
 

売店で、ターナーの水彩画集、油彩画集と絵葉書を買い集める。 

ケンウッド・ハウスへ  
お昼を回ったが、今日は暗いし、このままもう一つの目標を見て、早めにホテルに帰ろうと思う。ロンドンの少し郊外にある、ハムステッドにある、ケンウッド・ハウスを目指す。

始めのタクシーには断られたが、次のタクシーに乗せてもらい、到着。降りる時に、ハヴァ・ア・グッダイとコックニー訛を聞けて、感激する。
 
 

雨が本格的になってきた。公園から、ケンウッド・ハウスまでの道程は、折り畳み傘では悲しいぐらい降っている。

でも、気持ちはわくわくしてきた。こんな風に、色々な大雨を旅行で体験してきたことを思い出して、嬉しくなってきたのだ。
 
 

ケンウッド・ハウスは、ロバート・アダムという18世紀の建築家・室内装飾家によって、一部改装されたマンスフィールド伯爵の元館である。
 

ロバート・アダムのことは、かなり前から知っていた。(新)古典主義のモティーフと様式を用いて、ロココ様式が与えるあの軽やかさを達成した、その室内美をいつか見ることが出来ればと思っていた。

全ての部屋を改装したわけではなく、エントランス・ホールと、図書館、階段、Ante Chamberという部屋に、彼の意匠が特に発揮されている。

他にもダイニング・ルームに、レンブラントの自画像とフェルメールの絵画、音楽室には、ローレンスやゲインズバラの作品を至近距離で見ることが出来る、穴場の美術館になっている。

ロンドンから少し郊外、そして駅から20分ほど歩くということで、この時は、周りのゲストは英国人だけだった。

英国人たちは互いに、「Lovely, isn't it?」を連呼している。日本人にも好まれる場所だと思う。
 
 

スモキーピンクの壁、鮮やかなターコイズブルーの壁に、アラベスクな、もしくはグロテスクな文様を正対称に白や金色で規則正しく並べる。時々、その文様には、スフィンクスが描かれ、飾られる絵は、ローマ時代の服装をしている。時にコリント式オーダーがそえられる。

色のせいか、重厚になるモチーフは、重厚にならず、けばけばしさもなく、しかも文様の曲線が目を楽しませる。

雨雲の中、うっすら暗い部屋の中で、部屋の説明が書かれたボードを読みながら、天井の、柱の、壁の、鏡の装飾を味わった。
 
 

2階に行こうとしたら、入り口の前に鎖が張られていた。さっきはなかったので、入り口の人に聞いてみると、今、人がいないから、2時まであと10分待ってといわれ、もう一度、ダイニング・ルームのフェルメールの前に行く。
 

誰もいない部屋で、フェルメールと対面するなんて、これからあるのだろうか。
 
 

2階には、かつての伯爵家の肖像画が飾られていたが、特に際立った装飾はなかったが、階段は素敵だった。

売店で、ガイドブックと絵葉書を買った。ラベンダーのサッシャがあったので、思わず嗅いでみる。心が安らかになる。

外に出ると、小降りになっていたので、庭から館を眺めてみた。正面を回り、カフェのある方へ。更に進み、ちょっとした高台に出た。おそらく、ここがハムステッド・ヒースなのだろう。
 

目の前には、ヒースが広がり、遠くにロンドンの町並みが見える。ロンドンは、高層ビルが多いため、日本のように、ビルでその辺りがどの辺りかを知ることが出来る。これがロンドンなのかあ、としばし見惚れる。

寒くなってきたし、靴に雨が染み込んできたようなので、出口へ向かう。歩いている途中でタクシーを止め、ホテルに戻った。

アフタヌーン・ティー
15時ごろにホテルに戻り、さっと着替えて、お茶をしようとギャラリーに行く。アフタヌーン・ティーにしますか、それとも、と聞かれたので、折角なのでアフタヌーン・ティーをとお願いする。

アールグレイを選んで、本を読みながら待つ。本当はお腹がなっているけど、我慢する。

紅茶がやってきた、美味しい。やっぱり美味しい。英国で飲む紅茶は、本当に美味しい。

サンドウィッチは、卵とサーモンと胡瓜。美味しかった。その後、ケーキをいただく。後でスコーンを持ってきますよと言われたが、お腹が一杯ですとお断りする。顔見知りになった、陽気なサーヴィスと少しお話をする。
 
 

英国美術の本を読み終えて、16時。目の前のテーブルは、シャンパンまで飲んでうらやましい。 

後はのんびり
また、バークリーのプールに行く。今日は、天気が悪かったので、天井は全て閉められている。

気分はかなり良くなってきた。

ホテルに戻り、テレビをつけてみる。ビデオやCDも収納されているらしく、ダ・ヴィンチ・コードを見つけて、この旅に相応しいかなと思い、見始める。

途中で、これ以上見ると課金されることを知り、見るのをあきらめる。代りに、CDは無料らしいので、ヴィヴァルディを選んで、昨日買った絵葉書を書いたり、絵葉書を見ながら、溜息をついたり。

あっという間に、8時を回ってしまい、ギャラリーへと向かう。コンシェルジェに絵葉書をお願いして、夕食をとる。今日も、イタリアンにする。

席へ案内してくれる、いつもの女性の笑顔が素敵で、お名前をもらい、カードもいただいた。彼女も日本に去年行ったそうだ。はにかみながら、ありがとうございますと日本語を披露してくれた。
 

明日はどたばたするので、夜は今日しかゆっくり出来ないと思い、夜の散策に出かける。少し遠出をしようと、大通りのオックスフォード・ストリートから、リージェント・ストリートを南下し、ピカデリー・サーカスにぶつかった。

リージェント・ストリートは人が多かった。新宿のような賑やかさ。ピカデリー・サーカスのネオンは激しかった。

ネオンに関しては、パリよりも、ニュー・ヨークに近く、やはりイギリス人の心性とアメリカン人の心性は似ているのかなと思った。

ピカデリー・ストリートを上がり、リッツが見えたところで、折曲がり、ホテルに戻った。



 
 

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