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 ロメールの秋 様の 2008紀行
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21 Dec.2008

 

(2008年9月 ロメールの秋 様)
 

 
自己紹介

私とパリの関係は、シェイクスピアの詩 ソネット 22番が見事に表している。

青春とあなたが同じ一つのものである限り、鏡がどう言おうと私は自分が老いたとは思いません

もうすぐ四半世紀、ずっと虜です。
 

今年の2月に18世紀のフランス絵画をみるためにパリ旅行を計画していたが、頓挫してしまった。

改めて、秋の計画を立てていたとき、ロンドンにある、あのウォーレス・コレクションにも行ってしまおうかと思い、そこから、コッツウォルズも、ロバート・アダムも、ターナーもということで、今まで見ていた英国での夢を叶えてしようと思い、計画を練った。

結果、20年ぶりの英国と18世紀のフランス絵画が、今回の旅行の目的となった。

1 成田〜パリ〜ロンドン
ウォーレス・コレクション
ロンドン泊
The Connaught
2 ナショナル・ギャラリー
3 コッツウォルズ地方
カッスル・クーム、マームズブリー、バイブリー、バーフォード
4 テートギャラリー、ケンウッド・ハウス
5 ロバート・アダムの館巡り
サイアン・ハウス、オスタリー・パーク

6 ロンドン〜パリ
ルーヴル美術館、装飾芸術美術館
パリ泊
L'Hotel
7 発熱で一休み
ルーヴル美術館
8 コニャク・ジェイ美術館、フランス歴史博物館、ニシム・ド・カモンド美術館
パリ〜成田
機中泊
9 〜成田着  
  

 
 
 
 
 
ロンドンに到着  
成田を夜便で出発し、パリを経由して、ロンドンへ朝7時にヒースロー空港へ到着する。霧がお出迎え。やっぱり、ものすごく寒いなあ。寒さが足元から襲ってくる。トランクからコート、マフラー、手袋を取り出して、冬武装をしてから、ゲートを出る。
 

送迎の運転手を見つけて、おはようございます、ロンドンは寒いのですね と声をかける。

本当ですね。ここ最近ですよ、寒くなったのはと教えてもらう。
 

車を回してもらっている間、待っていた駐車場で吐いた息は、既に白い。携帯電話で、両親と友達に、もう冬みたいだよと話をする。

ホテルへ到着  
ホテルへ9時ごろに到着する。ドアマンがドアを開ける。このドアマンのアイボリーホワイトのコートがなんともシックで、私も背が高ければなあと憧れてしまう。

ロビーのソファでコーヒーをもらい、部屋の準備をしてもらう。

ホテル全体にいえるが、このロビーも、テーブルや花瓶などアイテムは、モダン。そして、壁紙、暖炉、鏡など、部屋の基本的な枠組みは、新しいクラシックとなるに十分なほど、端的にきれいだ。

準備が出来たというので、部屋に通してもらう。

モダン・クラシック。モダンとクラシックの融合と同時に、モダンなるものが次なるクラシックなものとなることへの可能性の中で、開くことが出来る空間が、部屋に広がっている。

一目で気に言ってしまい、素敵ですね、と案内してくれたレセプションに話した。
 

荷物を紐解き、ラベンダーのルームスプレーを撒いて、お風呂に入る。

アメニティは、アスプレイの最新の香水「パープル・ウォーター」のシリーズだった。高島屋で試したことがあるが、自然の花そのままの、甘くなりすぎない素敵な香りだ。
 

その後、バトラーを呼んで、飛行機で飲んだワインをこぼしてしまった、シャツのクリーニングと、邪魔になった空のスーツケース2つを預かっておいてと頼む。
 
 

ホテルの送迎や個人ツアーを手配していただいたコンシェルジェに礼を言うために、コンシェルジェ・デスクに立ち寄る。

コンシェルジェ・デスクは、ホテルの中央にある、素敵なマガボニーの階段の下にある。担当してくれたコンシェルジェに、チップと手紙を書いた封筒を渡しながら、礼を言う。

その横にいたヘッド・コンシェルジェは、日本語を少し話せるというので、少し話す。そのコロラドさんに、ロンドンの地図をもらい、今回の最大の目的、ウォーレス・コレクション美術館への道を教えてもらう。

美術館まで  
時刻はもう12時近く。ホテルを出て、デューク・ストリートを、アメリカ大使館のある方向にまっすぐ歩いていく。そして角にセルフリッジというデパートのある、大通りオックスフォードにぶつかった。

大きな通りで、あの赤い二階建てバス(ダブルデッカー)が通っている。嬉しくて、写真に収める。

パブがある。

紫、ピンク、黄色の小花に満たされた花壇やハンキングバスケットがある。

目に映るもの全てが、ロンドンの冷たい空気と一緒に体に染み込んでくる。

そして、いよいよ、夢に見たウォーレス・コレクションへ。

ウォーレス・コレクションとは
18世紀フランス美術の本を広げると、実はルーブル美術館を始めフランスには、シャルダンを除き、この世紀の絵画を十分にそろえていないことに気づく。

それらの名作のいくつかは、その親密さと軽やかさゆえに、個人の邸宅をいまだに飾っている。 そして、この美術館もまた、ヘッドフォード侯爵家が5代かけて集めた個人コレクションを展示した美術館となっている。
 

これらの美術品が、ナショナル・ギャラリーではなく、侯爵の元の家にいまだに飾られていることは大変な幸運だと思う。

親密さと軽やかさ、そして少々のだらしなさと端なさは、家族を守る家が持つ雰囲気であり、18世紀の絵画の多くはそれらを表していることが多いからだ。

そして、17世紀のルイ14世から始まった、フランスの光の世紀である18世紀は、なんとも魅力的であり、多くのヨーロッパ貴族を魅了し、ヘッドフォード侯爵家もその魅力に惑わされたのであり、その魅力を十分に味わうことが出来る美術館だ。 

まずは食事
12時を回った。この美術館には、ガラスの天井で覆った中庭があり、そこがレストランとカフェになっている。赤ワインとパスタを。

中庭の開放感が素敵で、ちょっとしたブランチを休日に取れるなんて、地元の人をうらやましく思った。 


 
 
 
地上階  
グランド・フロア(日本式一階)の、フロント・ステート・ルームには、歴代の侯爵家やラ、室のの肖像画が飾ってあり、ローレンス、レノルズといった英国を代表する肖像画が腕を振るっている。

隣の部屋には見事なセーヴル焼きのコレクション、ウードリの狩猟の絵画。

ダイニングルームには、ナティエが描いたルイ家にもかかわりのあるフランス貴族女性の肖像画が2点ある。

その隣のビリヤード・ルームにも、ルイ家の肖像画や彫像があり、侯爵家のフランスびいきを感じることができる。

1階  
いよいよメインのファースト・フロア(日本式2階)へ

ロココ絵画を代表する重要な絵画が、実はロンドンのある美術館にたっぷりとあり、そのコレクションの名をウォーレス・コレクションということを知ってから、やっと、夢に見ていたコレクションに、いよいよ対面できる!!

階段を上る中階には、ブーシェの大きな絵画がある。18世紀の典礼に則った絵画といえば、ブーシェ。堅く、それでいて、端ない世界が広がる。彼が描く貴族は端ないのに、典礼に則っているため、堅い。

それに対し、彼の描く神々は、偉大でドラマチックである。バロックと古典主義をいとも簡単に超えながら、しかも18世紀の色と光を持っている。なんとも溜息。。
 

まだまだ続く、溜息。。
 

まずは、スモール・ドローイング・ルーム。ここには、ヴァトーやランクレの小品が飾ってある。

いくつかの言葉は、発音するその音の響きが素晴らく心地よいため、その意味さえ心地よいものとなってしまい、終いにはシチュエーションとは関係なしに、音にしてしまいたくなる。

こういった言葉を、ヴァトーは人体にもあるということを発見し、それを十分に展開したために天才と呼ばれるのだろう。

ヴァトーは、それを人々の振る舞いの中に見つけ出した。典礼に則った社会にいれば、お辞儀や微笑み、手の動きの傾きが、意味を持ちながら、同時に優雅な典型として独立した形となることを、簡単に見つけ出すことが出来るだろう。

彼の作品には、同じモチーフ、例えばお辞儀をする女性、コートの襞さえ完成された後姿の女性、垂れかかる女性すら、見られることによって鍛えられた典型となり、それを色々な絵画に見ることが出来るのは、典型はその典型が振舞う度に、新しい姿(絵画)を生み出すことが出来ることを知っていたからであろう。
 
 

ランクレも重要だが、このようにヴァトーと並べられてしまうのは、少々かわいそうだ。

彼はダンスのような動きというものを画面に持ち込んだため、ヴァトーと同じ世界を描きながら、全く違うことを表現している。
 
 
 
 

オーヴァル・ドローイング・ルームにも、ブーシェの神々、そして可憐なるポンパドゥール侯爵夫人の絵があるが、フラゴナールの傑作があるのだから、そちらに足が進んでしまう。

フラゴナールは、小品も多いこともあり、世界中に、そして個人宅にその作品が散らばっているため、私には、その様々な作風からして、いまだに彼の絵画の全体像を掴むことが出来ない。ただ、なんて素晴らしい可能性を持った画家なのだろうと思う。
 
 

この部屋に、あのブランコがある。ロココの軽快さ、狡さ、傲慢さ、嘲ること、そして喜びと喜びを最高のものであると言いのける力を十全に現しているため、ロココといえば、この絵画というほどの時代精神を表す絵画。

やっぱり、すごい。

ブランコをこぐ女性、その舞い上がったスカートの中をのぞく若き愛人、ブランコを動かす老いた愛人、そしてこの秘密の遊びを嗜め、そしてけしかける天使の像。最期にこの秘密の全てを知る鑑賞者は、大人の背徳の歓びを知ることになる。

背徳が楽しみであることを近代的な条件で再定式化したロココ絵画の傑作だなと思う。
 
 

しかも、ここには、もう一つの傑作、可愛らしい坊やの絵画もある。カラフルな甘い綿飴は、食べてしまうほうがいいのに、こんな風に飾っておくのもいいのかな、なんて思ってしまうようほど可愛らしい。その色使いも、タッチも独特で、フラゴナールの表現の幅の広さを思い知る。

他にも、ムリョーリョの天使顔負けの可愛らしい子供達の絵画(先生に怒られている子供)など、傑作ばかり。

来ることができて、本当に良かった。
 

他にも、グルーズ、ルブランといった18世紀のフランス絵画もあり、レンブラント、ルーベンス、ヴァンダイク、プッサンといった絵画もあり、侯爵家のコレクションのセンスに驚き、うらやましく思った。
 

そんな風に過ごしていたら、もう16時半。今日は初日だから、早く寝なくては。売店で、ガイドブックなど色々購入し、美術館を出る。

ホテルへの帰り道  
ホテルの帰り道は、別の道を通っていこうと、有名ブランドや老舗があるボンド・ストリートとサヴィル・ローを通ってみる。

土曜日の夕方、ショッピングをする多くの人で道は溢れかえっている。

ウィンドウ・ショッピングをして、ホテルまで戻る。

夕食はルームサービス
本を読みながら、もう一度風呂に入る。途中で、今朝のワイシャツができ上がったので、サービスが部屋に入ってきた。風呂のドア越しにありがとうと返事をする。

風呂から上がり、時間を確認すると、19時を過ぎている。もうそろそろ限界だ。

初日の夜は、疲れているので、ホテルの部屋でだらしなく食事をしようと、ルームサービスでフィッシュ・アンド・チップスとロゼワインを頼む。

食事の途中で、ターンダウンの係りが入ってきた。眠いし、そのまま仕事を進めて、とお願いしたが、お食事中ですから、後で来ますといって出て行ってしまった。

確かに狭い部屋だし、しょうがないかとあきらめ、眠い中どうにかチップス以外はお腹に収めた。

部屋が乾燥していると、風邪を引くので、エアコンを止めて、首にスカーフを巻き、パジャマに着替え、準備万端とする。しばし、トランプをしながら時間をつぶす。

係りがまた来てくれたので、セッティング。後はそのまま眠りの世界へ。 


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