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実録! ちむ様の レンタカーで食べるために走る! 
フランス縦断2000キロ!紀行   6
            
updated on 19 Aug.2001
16 Apr.2008 移動、整理再掲


  (2000年10月 ちむ様)
 
 
 

10日目  
今日も起きると朝もや。けれども朝もやの後、窓から眺める景色はなかなか見事。 
 

昼に向けて、朝食は控えることにした。 でも村で買ったりんごジュースはあまりに美味しかったので、2人で飲み干した。村の郵便局で葉書を出し、(しかし届く頃には確か帰国しているような気がする・・・) 雑貨屋兼食品店にチーズを買いに行った。 

配偶者が旅行者の2人には100gもあればいいやと、店の女性に言ったところ、大笑いされてしまった。フランス人のチーズの買い方は、あのでかい塊のまんまとか半分とからしく、前日の昼が思い出されてしまう。
 

 
 
 
アルボワ
 
マルビュイソンで2日過ごした後、アルボワに向かった。 

またもや裏道を行こうと、地図を片手にさわやかな風を感じながら、ドライブ約1時間で到着。 ディジョンやリヨンからでも1時間ちょっと、ブザンソンからも40分ほどの距離だ。 

どこかに連泊して日帰りも可能なので、いい。 コンテ地方にあり、中世の小都市といった風情のワインの街。
 
中心部に5つほどのドメーヌが、店をかまえている。日本では、アルボワワインはあまり知られていないが、意外と多くの品種があって、それぞれに個性がある。独特のブランデー香があるものや、Vin de Paille のような甘口のワインもある。 

2年前に来た時はドメーヌが閉まっていた時間でもあり、散策できなかったので今回は宿泊で絶対買って帰るぞ! 
 
さて到着が昼近くになって、お腹もぺこぺこ。チェックインと、昼にすることにした。 Jean-Paul Jeunet は、前回来た時にかなり気に入った店で、是非再訪したかったオーベルジュ。 

車上荒しが心配だったので、ガレージに停めさせてもらおうと頼みにいったが、なんとホテルを2軒持っていたみたい。前回は日帰りだったので知らなかった。 

私達は安い部屋を予約していたため、200mほど離れたホテルだった・・・。それならガレージはあきらめるかなと思っていたら、女性が「レストランの真上の部屋にする? 同じ値段でいいわよ。」と言ってくれている様に聞こえた。 

”えっ、今なんと言われました?” 「部屋を見てみる?」 と言われ、あわてて配偶者を呼ぶ。半信半疑で女性についていきながら、私の英語理解能力にも大分不安になった一瞬。 正直なところ、戸惑ってしまった。 
 
部屋はまだ掃除中だったけど、綺麗な部屋だったし、風呂も広い。マダムが「OK?」と聞いてくれたので”ほんとに安い値段でいいの?” と、念押しで聞いてしまった。
 
 「大丈夫よ!」と笑顔で言ってくれたので、こちらも感謝して、お願いすることに。
 
おまけに、車はレストランの前の公共駐車場に置くことになり、全部で160Frは浮いた事になる。半分きつねにつままれたような、でも嬉しかった〜!! 旦那はさらに喜んでいた。これで酔っ払っても運転してホテルに帰る必要がない! それはごもっとも。
 
ホテルの部屋の写真を撮ったりしてくつろいだ後、一階に降りて昼だ。平日昼なので、すいていた。レストランは、木の感じが家庭的で暖かい空間になっていた。 

ムニュでジビエが魅力的だったので、そちらにした。 
 
 
 

ジビエ= 野禽。おいしい。
Jean-Paul Jeunet (Arbois)   昼 Menu 490F 
今回のこの店には、当初それほどの期待はなく、昼のみの予約だった。 前回(98年7月)も確かによい料理ではあったが、郷土料理の色合いがつよく、多少の洗練さと新しさ(チーズを素材の引き立て役にもってきていた)はあったものの、この土地のワインと共に食事をするから
おいしいのだろう、と思った程度。 

前回と違っていたのは、料理にチーズがほとんど使われていなかった。 

今回、この店ほど、土地の食材のすばらしさを皿にだしていた店は、なかった。 


 

前菜

鴨のフォアグラと、西洋ごぼうのテリーヌ。ジビエのフォン(だし汁)をビネガーと合わせてソースにしている。 
 
酸味の使い方が独特である。鋭角的なのに、フォアグラと共に食すと、包み込むようになっている。サラダと共に食すと、野菜の香りが引き立つ様に酸味が切れる。 いい食欲の刺激になり、見事に前菜の役割を果たしている。
 


二皿目 
仔牛の頭肉のラビオリ、薄い仔猪のジャンボン(ハム)添え。

 
ラビオリのゼラチンの味が、ジャンボンの塩気と交わり、今度は塩気によって主菜への期待が高まります。 

 


主菜 野ウサギのロワイヤル(単純に言えば赤ワイン煮込み)。

この料理がジビエ料理の、新しい発見でした。 
 
通常、ジビエの場合、いかに野生の香りをいかすか、最も香る血と内臓をどのように扱うかによって、その店の個性がでると考えている。下手な店だと、内臓のくささが臭味となって、肉の風味を飛ばしてしまうことがある。 
 
ここでは、野生の香りが最大限に香るのに、くささがない、内臓のくささではなく香りのみが、肉に加わるという皿。これが、ジビエの中で最もにおいが強いであろう野ウサギで、施されていた。

その上、それを支えるソースが血とワインの香りを漂わせながら、肉の香りを倍加させるように補強がされていて、なおかつクリアーな切れ。あまりの香りに、ナイフを入れる前に、写真を撮るのを忘れてしまった。 
 
これに、別皿の栗の香り高いピュレに、カラメル香の焼きりんごを合わせて食べると、フランス料理でしか到達しえない陶酔感、今まで食べた野ウサギのロワイヤルの中で、最上の皿だった。 
 
いや、今まで食べたジビエの中でも、ベストの水準。これを昼に食べてしまったため、夜も予約をその場でいれて、また野ウサギをたべてしまった次第。 
 


続いてマダムがチーズを運んできた。地元のチーズを中心に、20種類はあったか。 コンテのチーズの熟成具合は、山羊のチーズが好きな自分が、食べたい衝動を抑えきれないほど、完璧。 

デザートの水準も期待してもらってかまわない。 
 
イエローワイン(Vin Jaune という黄色のワイン)を使ったアイスは初めて食べた。 

クルミの香りの高め方も、独特。焼きたてのクルミケーキの上にアイスをのせて、さらにテュイル(薄いせんべい)を立てている。
  
ケーキからはそのものの香り、テュイルからはスパイスを引きたて役にした香り、そしてケーキとアイスを同時に食べると、イエローワインを高めるように補強する香り、とこうゆうクルミの変化する使い方は、見たことがなかった。
(ちむ夫記す)
 

 

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Fond フォン 出し汁。 素材を炒め、煮つめた出し汁。単にjus ジュと言ったりもする。  ソース・スープの土台として使われる。
 

Ravioli ラヴィオリ 詰め物をしたパスタ
 

Vinaigre 英語でいうヴィネガー 酢。

foie gras  フォアグラ 
ガチョウ(オア oie)、カモ(カナール canard)に、えさを大量に与えて肥えさせちゃった肝臓。人間もこないなるんかぁと思うとおそろしいが。キャビア、トリュフと並んで三大珍味。 

こってりとしている。コクのあるガチョウのフォアグラ(フォアグラ・オア)はテリーヌ  に、鴨のフォアグラ(フォアグラ・カナール)はフライパンで両面を軽く火を通して香ばしくして食べる。 ペリゴール地方名産
 

pure'e ピュレ 野菜・肉などをつぶして漉したもの。漉し汁。トマト・ピューレを想像すべし。
 
 
 
 
 

Comte コンテ
フランス、コンテ地方のチーズ。正式名称「グリュイエール・ド・コンテ」
フランスチーズ国内生産量のトップ。コンテチーズひとつを作るのに、大量の牛乳(500リットル)を必要とする。品質管理はとても厳しい。
コクがあり、たいていの日本人には苦く感じる。
 
 
 
 

Che`vre シェーブル 山羊乳のチーズ。コクがあり風味がある。いていの日本人には酸っぱいような渋いような。

 
Vin Jaune ヴァン・ジョーヌ 黄色ワイン
フランス東部、スイスとの国境沿いにあるジュラ山脈の麓、スイスのレマン湖に近いサヴォワ。あまり広くないブドウ産地。ジュラの中で、最も特色がある。 

とくに伝統法で作られた白ワインを樫樽で6年熟成。クラヴランClavelinと呼ばれる620ml入りの特殊な瓶を使用する。野禽やハードチーズにあうとされる。辛口シェリーに似たワイン。
生産量が少なく、ほとんど地元で消費される。
 
 

Tuile テュイル バター、砂糖、卵、(小麦)粉を主な材料とし、薄く焼き上げた後、麺棒 などに押し当ててカーブをつけ、瓦に見立てた小菓子。
 

 

素晴らしい!!
料理もさることながら、マダム、ソムリエ、サービスとも素晴らしい。暖かいというか ハートフルというか。2人共、心地よい空間をもらった感じだ。地方の(多分客として日本人はあまりこないところだとは思うが。) 二つ星で、料理名を日本語で言ってくれたのは初めて。普通はそんなことしないよ・・・。 
 
私が大うけしたものだから、サービスの人(若い人だったからかな?)料理を出す度、張りきって即席で覚えた日本語を披露してくれました。
 
マダムもチーズの時に、コンテのハード・ウォッシュ各一種ずつを頼んだら、「これ美味しいから食べてみて」とハードの違うチーズまでドン!と盛ってくれました。
 
向こうの Petite は、日本人の思う「少し」では決して、ない。食べ切れるか心配だったが、食べてみてびっくり! マダム推薦のチーズが、まためちゃめちゃ美味しい。 後は想像どおり。胃袋はあっという間に、吸収していた。
デザートが終わった頃には、夜の予約をマダムにお願いしていた。そしたらマダムが「日本人の料理人が研修で来ているから、お茶しながら決めたら?」と紹介してくれた。 
 
サロンでお茶飲みながら、夜のメニューを決めたが、フランス料理のフルコースは普通一日一食で、お腹は十分一杯になる。
 
カルトで食べたい物があったけど、食べきれないかもと彼に言ってみたところ、女性がハーフポーションにしてくれるとの事。こうなったらお願いできるものはお願いしてしまおう!

マダム・彼と4人で話していたら御昼の勤務時間が終わったのか、先ほどの陽気なサービスの男性が私服に着替えてきて、彼に「サッカーしに行こう!」と言ってした。 

なんでも 店対抗で、アラン・デュカスのチームに勝って優勝したのだとか。 レストラン対抗サッカー大会なんて、初めて聞いた。 
 
サッカーが盛んな、ヨーロッパだけの事はある。ココまで話をしていると客というより、近くのお宅にお邪魔した感じ。また夜に会いましょう、とレストランを引き上げることにした。
 
 

王立製塩所
さて、夜の料理も決まったし、今回配偶者の唯一といっていい、行きたい観光地、Arc-et-Senans アルク・エ・セナンにある王立製塩所へ行くことにした。 

女性に行き方を聞いて、英語で説明してくれる最終時間まで後30分だったけど、間に合うかどうか?

20分ほどで到着したけど、すでに受付けは終わっていた。 

せっかくだし、世界遺産をゆっくりみようと、中に入ってみる事にした。円形に整然とした建物が、ぽつんぽつんと建っている。中の展示場には、完成予想図や模型などがあり、かなり精密に計画されていたのがよく分かる。 
 
ビデオの説明もあり、フランス語がもっと分かればなあ。ただ、観光地というよりは、未来の都市モデルの感じはあるが。
  

さて、ホテルに戻って、町の散策だ。葉書を購入した後、ジュラワインを買いに酒屋に入った。なににしようか、と迷いながら店に入ったところ、試飲をさせてくれた。Vin de Paille が、甘いし美味い。おまけにハーフボトルのみで120F(当時レートで1,800円ほど)。自分と土産で3本購入。他のも飲ませてくれたので、正直ほろ酔い。 
 
夫婦2人で上機嫌。胃袋はすでにフランスモード全開だし、夜が待ち遠しい。胃薬も結局飲まなかった。
 

夜のディナーは飲めるとあって、2人アペリティフを一杯ずつ Cremant de Jura、 ブランデーのような香りのする Vin Jaune の後、ソムリエに料理に合ったものを勧めてもらった。地酒ってほんとに安く、140Frほど。でもその土地の料理に、抜群に合うようにできている。昼がかなりよかったので、夜も期待大!
 
 

ヴァン・ド・パイユVin de Paille 藁ワイン
ジュラ地方の特別なワイン。
 
選り抜きの良質なブドウを、藁床で乾燥させ、糖分を高くして作る。天然甘口ワイン。独特な風味ととろりとして甘さが特徴。ポPots[またはドゥミ・クラヴランDemi Clavelin=375ml]瓶。甘口白。
Jean-Paul Jeunet (Arbois)   夜はカルトです  カルト=一品料理
地元の発泡酒(Cremant de Jura)を飲みながら、ワインはやはり地元のアルボワワインを選ぶ。昼はハーフボトルだが、このまま寝ればいいので、フルボトル一本選んだ。


アミューズ(突き出し)

細かく切った鴨コンフィ入りの、カボチャのスープで始まりました。かすかな粘り気と甘い香りに脂肪の香りが消えるようにからまり、何気ない食材をはっとする水準に高めている。 



前菜

冷製野ウサギのフィレ肉の部分をさいの目に切り、ポロねぎで巻いたもの。半量でお願いした(90F)。
 
キノコのピュレを敷いている。昼の煮込みとは対称的に線が細い。しかし肉の軟らかさとピュレとの相性、赤ワインとの相性は、互いが引き立つ様になっている。 前菜の量であり味わいながら、完成度が高い。



主菜
 
鹿のフィレ肉、サブレ載せ、カリン添え(260F)。 
 
軽くナイフを入れるだけで、スーと降りるくらい肉質がやわらかい。サブレをのせ、さらにセップ・カボチャを載せるという、立体的な盛りつけ。
 
暖かい料理を正方形のガラス皿にて供するなんて、視覚的にも十分である。
 
コンポートされたカリンが、甘味と酸味を補い、鹿肉の鉄分を多く含む香りを強調しています。繊細な鉄分は、かぼそく、はかないながらも一本芯が通っている。

鹿に関しては、日本の方が良いのではと思っていま
したが、これほどの火の通し、熟成の具合で供されると
その考えは吹き飛びました。 近所でしとめているそうです。  
 


アヴァンデセール
 
アンディーブのブリュレ。初見です。かすかな苦みと卵黄の相性を知った。 

デセール
 
軟らかいショコラのピラミッドと、ショコラアイス(75F)。 

ピラミッドの甘みと甘い香り、アイスの苦みと苦みのある香りのコントラスト。キャラメルがつないでいる。

ショコラ・オ・レと深入り焙煎珈琲の対比と言えば、少しはわかってもらえるだろうか。ショコラ好きには、たまらないおいしさ。 

 
これらの料理が、どれひとつとして思いつきとか、突飛なところがなく、完成度の高い皿として供され、気持ちのこもったサービスと共にテーブルに運ばれてくる。

後日訪問した、ランスのボワイエのプロフェッショナルで、見るだけでも価値のあるサービスとは異なり、田舎の素朴さと暖かさが伝わるサービス。料理を食べて、この店ほど、紡ぐように言葉があふれるレストランは、久しく体験している。 (ちむ夫記す)
 
 

サービスはさらに日本語に磨きをかけていた。最後には女性のサービスの人に日本語で、「いかがでしたか」と聞かれて、その徹底ぶり思わず私も日本語で、「ありがとうございます」て言ってしまうほど。

しかしここはフランスなのだ。でも日本にいるような、ずいぶんとくつろいだ気分になった。

サービス精神には脱帽。配偶者は飲みすぎで、すでに真っ赤。飲み残しのワインを部屋にお願いしたものの、またもや飲めずにバタンキュウだった。
 
 
 
 

confite  コンフィ  
「漬ける」の意。肉料理 「鴨のコンフィ」などの場合、塩漬け肉を、脂で低温で煮込む。鴨や豚肉の脂肪煮。野菜は、砂糖水や酢に漬け込んで煮る。 
 

Filet フィレ
ヒレ肉。 ヒレ肉は、背骨の内側の肉。牛肉だけではなく、仔羊、豚等にもある。別名はテンダーロイン。
牛1頭からは3%程度しか採れない貴重な最高級部位である。脂肪が 少なくあっさりした味。
魚の場合は、切身・片身。 鶏の胸肉をいうこともある。
 

sable' サブレ
Pa^te sable'という、練り込みパイ生地より脂肪分が少なく、砂糖が多めの生地を焼き上げたお菓子で、サクサク仕上がる。
練り込みパイ生地 薄力粉、無塩バター、水を混ぜ合わせた生地。
Tブレは本来は「砂」の意味。サクサクとした食感を砂にたとえたもの と思われる。英語でショート・ブレッド。

カリン 
冬から早春にかけて花を咲かせる、カンボケやボケと同じ属に属する中国原産の樹木。薄桃色の花。秋の終わりに、リンゴのも黄金色の果実をつけ、ゴロゴロ地面に落ちる。大変いい匂いだが、果実には石細胞が多くて大変堅く、ふつうの包丁では切ることが困難。

Compote コンポート
フルーツをシロップで煮たデザート。季節のフルーツをシロップで煮、赤ワインやブランデーなどの洋酒や、シナモンやバニラなどのスパイ スを加えて作る。

avant dessert  アヴァン・デセール 
デザートの前(アヴァン)に出されるデザートのこと。 
 

アンディーブ
ベルギーを代表する野菜の一。ベルギーのフランス語圏ではシコン、オランダ語圏ではウィットルーフ。
 

 


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