タイトル | : フレンチメニュー用語解説 連載(41) |
記事No | : 8735 |
投稿日 | : 2005/09/10(Sat) 18:19 |
投稿者 | : Chun3(管理人) |
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「ギャルソンの部屋 : フレンチのメニュー用語解説」 Vol.41 __________________________________________________________________
< 本日のメニュー >
Bar de Goto poe^le' a` la peau au sansho^ sauce au vin rouge 五島産スズキのオリーブ油焼き さんしょう風味の赤ワインソース
先日よりちょっと面白いメニューが手に入りましたので、しばらくご紹介させて頂こうと思っています。 上記のメニューは、以前にリゾートホテルの雄、ハウステンボスホ テルズの「ホテルヨーロッパ」で行われた食文化の発信イベント「第6回 華麗なる食の饗宴」のメニューです。
このイベントは、ハウステンボスホテルズの総料理長、上柿元勝氏と、国内 外の著名な料理人を招いて、一つのメニューを作り上げると言うものです。 残念ながら、僕自身はこのメニューを食べるどころか、見ることも出来なか ったのですが、幸いにもメニューが手に入りましたので、ご紹介させて頂くこ とにしました。
因みに、今回上柿元氏と共演なさったのは「フレンチの鉄人」こと坂井宏行シェフでした。 そして、上記のメニューは上柿元シェフの手によるものです。
※ このメールマガジンは個人的に作成しているもので、上記ホテルと メールマガジン作成者の Holly は直接関係を持ちません。従いまし て、問合せ等は、直接お電話にてお願いいたします。
< メニューの用語解説 >
Bar (バール) 日本語: 鱸(すずき) 英 語: bass 解 説: スズキはスズキ科の代表的な魚で、成長の過程ごとに呼び名が 変わる「出世魚」です。 呼び名は、若い順から、セイゴ(1年魚、25cm位)、フッコ( 2〜3年魚、50cm位)、スズキ(成魚、60cm位)となっています。 もちろん、こういう呼び分けは日本独自のものなので、メニュ ーとしては一括して Bar と記されます。日本語訳は、呼び分けを 適用して付けられることが多いようです。
スズキの旬は夏とされることが多いのですが、これは他の白身の魚が味が落ちる夏でも美味しいからで、 実際には産卵前の秋に 一番脂が乗ってきます。 日本近海では北海道から九州にいたる日本各地の沿岸に棲息し、 島根県の宍道湖、瀬戸内海、東京湾、常磐地方、紀州地方が産地として知られています。 スズキの代表的な料理は「bar en crou^te」「スズキのパイ包み焼き」です。 フランスのリヨンに近いレストラン「ポール・ボキューズ」のスペシャリテですが、 現在はポピュラーな料理になっています。 また、スズキは loup de mer という言葉でも表現されます。
#ふらつー管理人補記 #この魚は ビストロなどでも非常によくメニューにはいっている #ものなので、この魚の呼び名を覚えておくと、くいっぱぐれたり、 #チョイス失敗することが少ないです。とくに年配の方には #抵抗が少ない料理ですので、必須です!
poe^le' (ポアレ) 日本語: ポアレ 英 語: Cook in a Frying pan 日本語: ポアレ → 日本には該当する調理法がありません。
解 説: ポワレは、古典的な解釈のものと、現在主流のものと、2つがあり。 古典的な解釈とは、かの エスコフィエ が自著の中で書いているように 「ポワレとは特殊な ロティ である」というものす。どこが特殊かというと、 バター と ミルポワ(香味野菜) の香りを意識的に素材に閉じ込め、しっとりと 仕上げるところでしょう。
ロティが厳密には油脂だけを用いるのに対して、ミルポワを使うところが異なります。 しかし、実際には、この意味でのポワレは、「ロティ」という表現の中に吸収されているようです。
具体的なやり方としては、香り付けのための野菜(ミルポワ)を薄く敷き、 その上に素材をのせ、少量の油で鍋の蓋をしめて弱火で調理するというものです。
もともとは柔らかな獣肉や鶏肉に使われていましたが、魚料理にも応用されています。 その際は、バターではなく、オリーブオイルが使われ、より軽く仕上げることもあるようです。
さて、もう一つの、主流であるポワレとは、 ソテー の中の一技法という解釈です。 ポワレの語源は一説によるとポワール鍋(フライパン)から発生したもの、といわれていますが、 この場合のポワレは、切り身状に平たく整形した素材をフライパンで焼く、という解釈になります。
ソテーとは、水分を使わないで、バターなどの油分を用い、鍋の中で火を通す作業を指す 広い概念ですが、その中で特に平たい素材を動かさずに片面ずつ焼いて仕上げる調理法がポワレというわけです。 また、ポワレは比較的高温で短時間で仕上げる調理法です。素材としては、 ある程度火の通りの早いものが向くようです。
#ふらつー管理人補記 #これも基本調理用語なので、頻出単語です。
peau (ポー) 日本語: 皮 英 語: skin 解 説: 皮や皮膚を表す言葉です。
sansho^ (サンショー) 日本語: 山椒(さんしょう) 英 語: sansho, Japanese pepper 解 説: 山椒は、ミカン科の落葉潅木アサクラザンショウの果実で、独 特の芳香と辛味に特徴があります。七味唐辛子などの原料にもな ります。 山椒の若葉は「木の芽」といい、和食の薬味として欠かせない ものです。 フランス語では Poivre du Japon のように表現することもあ ります。
sauce (ソース) 日本語: ソース 英 語: sauce 解 説: ソースは、フランス料理の根幹をなす大切な要素です。 ほぼ液体状になっていて、その料理の中心的な素材と一緒に食 べることで、料理の風味を高める役割をもています。 ソースは、基本的にその料理の主たる素材から作られます。素 材を焼いた際に出る焼き汁がソースのベースとなります。 ソースの基本的な概念は、素材から逃げ出した旨味を捉え、再 び素材に戻すというものです。素材を焼いても、煮ても、或いは 切るだけでも、旨味は素材から逃げていきます。料理のテクニッ クは、ある意味如何に旨味を閉じ込めておくか、とも言えるので すが、逃げたものを捉えるというアプローチをしたのがソース、 ということが出来ます。 また、単純に旨味を戻すだけではなく、それ以上のものを加え る、そういう贅沢な発想もあります。 ソース造りの典型的なプロセスは以下の通りになります。 1. de'graisser (デグレッセ) 肉をロテーィルした際に、鍋底に肉の旨味成分が焼きついて残ります。 しかし、同時に余分な脂や焼き焦げのカスも残ってしまいます。そこで、デグレッセという作業を行います。 デグレッセは「脂肪を取り除く」という作業で、ここでは汚れた脂を取り除くこと、 鍋の縁にこびりついている焼き焦げを拭うことを指しています。
2. pincer (パンセ) デグレッセした後の鍋を強火にかけて残った水分や不純物を飛ばす作業です。 また、焼き汁の旨味を凝縮させる効果ももちます。
3. de'glacer (デグラッセ) デグラッセは、鍋の中に液体を加え、焼き汁を溶かして旨味を取り込む作業です。 液体には、どのようなソースに仕上げるかによって、水、ワインなどのアルコール類、フォンなどの 出汁(だし)類が使われます。
4. mouiller & re'duire (ムイエ と レデュイール) ムイエは、「加熱する為の液体を加えること」で、デグラッセしたソースの核になるものに 別の液体を加えて薄めます。 レデュイールは「煮詰める」ことで、こうした過程を経てソースの味と コクのバランスを仕上げていきます。
vin (ヴァン) 日本語: ワイン 英 語: wine 解 説: 今や日本においても完全に定着した感のある飲み物、ワインです。 ぶどうを原料に、アルコール発酵した飲み物で、フレンチの世界では料理と結婚して、 お互いを高めあうので、欠かすことの出来ないものです。 あまりに奥が深いので、今回はここまで。
rouge (ルージュ) 日本語: 赤 英 語: red
< レストランの雑学 >
レストランの中でちょっと知っておくとタメになるかもしれない、そん な雑学です。
1. レストランのクロス
フランスなど、ヨーロッパのレストラン内部の写真と、日本のそれとを 比べると、幾つか違っている点を発見しますが、そんな一つがテーブルク ロスです。 何が違うのかというと、フランスのレストランでは、テーブルをすっぽ りと、角は足元まである一枚のテーブルクロスが覆っています。それに対 して、日本の場合は、大きなクロスでテーブルを覆い、その上にまたテー ブルから15cmくらいの垂れを持ったクロスを敷いています。 この違いはどこから来るのでしょうか? 実は、レストランの利用に対する文化の違い、が根底にあるようです。 フランスでは、人々がレストランを利用する時間というのが概ね8時半 〜9時ごろと固定していますので、テーブルが「回転する」(一組のゲス トが食事を終えたら、次のゲストを迎え入れること)ことがほとんどない のです。 日本のレストランの場合は、早めの時間に来る方と、遅めの時間に来る 方といらっしゃいますので、テーブルを回転させます。そこで、クロスの 取替えがしやすいように、トップクロスと言われる小さ目のクロスをテー ブルに敷くようになったとか。 もちろん、フランスのレストランにもトップクロスとアンダークロスの 組み合わせをしているところがあります。
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